吉展ちゃん誘拐殺人事件から学ぶ防犯術
目次
事件の概要
吉展ちゃん誘拐殺人事件は、1963年3月31日に東京都台東区で発生した4歳の男児、村越吉展君の誘拐および殺人事件です。犯人の小原保は身代金目的で誘拐し、すぐに吉展君を殺害しました。警察は身代金受け渡しの失敗や捜査の難航から事件解決まで2年以上かかりました。最終的に小原保は逮捕され、死刑が確定し、執行されました。この事件は日本初の報道協定が結ばれ、国民的関心を集めた誘拐事件です。
出展:Wikipedia
この事件を知ったとき、私にも同じくらいの年齢の息子がいたので、非常に心が痛みました。また、それと同時にこの事件を教訓に、自分の息子をこのような事件から守るためには、一体どのようなことが必要なのかを考えさせられました。
事件の考察
事件発生の詳細
1963年(昭和38年)3月31日 – 16時30分 – 17時40分、東京・台東区入谷町に住む建築業者の長男・村越吉展(当時4歳。以下「被害者」という)が自宅近くにある台東区立入谷南公園(台東区入谷町)に遊びに出掛けていたが行方不明になった。両親は迷子を疑い警察に通報。新聞などで「誘拐」ではなく行方不明として報じられる。
出展:Wikipedia
どうやら吉展ちゃんは公園に1人で遊びに行っていた時に誘拐されたようで、1人で遊びに行っていたという点が非常に悔やまれます。しかし、この公園は自宅と通りを隔てた向かい側に位置しており、家族の方からするとほとんど自宅の庭で遊んでいるくらいの感覚だったようです。
そのような環境を考慮すると、仮に私が親だったとしても、そこまで警戒心を抱かずに自由に遊ばせてしまっていただろうと思います。
殺害の動機
公園のトイレで吉展ちゃんが壊れた水鉄砲を直そうとしていると、犯人の小原が「直してあげるよ」と声をかけました。吉展ちゃんはその誘いに乗り、小原と共に南千住方面へ歩き出しました。道中、吉展ちゃんが小原の足の障害を指摘したため、小原は身元がバレることを恐れて殺害を決意しました。小原は吉展ちゃんを近くの墓地に連れて行き、突然首にベルトを巻きつけて絞殺しました。
この情報から分かることは、吉展ちゃんが誘拐されてから殺害されるまでの時間が非常に短かったということです。そのため、もしも誘拐の直後に吉展ちゃんがいなくなったことに気づけていたとしても、殺害を回避することは非常に難しかったのではないかと思います。実際、この事件をきっかけに「知らない人についていってはいけない」という決まり文句が定着したそうです。つまり、誘拐が成功してしまってから何か対策を取るのではなく、いかに未然に防ぐことが重要であるかということを示唆していると思います。
防犯の手法
先にも述べた通り、このような事件を防ぐためには、未然に対策を講じることが重要だと考えられます。そのため、防犯の手法としては以下のようなものが挙げられます。
防犯ブザーの携帯と利用方法の指導
実際のところ、防犯ブザーの正しい使い方を習得するのは難しい気がしますが、防犯ブザーはそれを携帯していることで犯行を行おうとしている人間に対する心理的プレッシャーを与えることで、未然に防げる可能性を高められると思います。
携帯電話を持たせる
誘拐された後に子供が携帯電話で助けを求めることは稀かもしれませんが、これも先述の防犯ブザー同様、持っているだけで防犯に効果があると思います。もちろん、犯人が誘拐のタイミングで携帯電話による連絡や内蔵されているGPSでの追跡を警戒して携帯電話を捨ててしまうことも考えられますが、もしも携帯が捨てられてしまったとしても、親がGPSで追跡し、携帯電話が捨てられている状態を確認できれば、その時点で何かしらの事件に巻き込まれていることに気づけるかもしれません。
実際に吉展ちゃんのケースでは、最初は迷子として通報されました。時代が違うので単純比較はできませんが、もしも明らかに捨てられたと見られる携帯電話が見つかった場合、迷子ではなく事件性のあるものとして通報できるかもしれません。
親や周囲の大人による見守り強化
この方法は大変有効だとは思いますが、自分たちだけでは完結できない難しさがあります。これを実現するためには、元々そういうことがなされているいわゆる治安の良い地域に住むことが、現実的な方法でしょう。そういった土壌がない地域に住んでいる場合、行政やコミュニティーに働きかける必要がありますが、それができる人はごく稀だと思います。ですので、やはり治安の良い地域に移り住むことが最も効果的かもしれません。
それが難しい場合、ほとんどの人にとって実現可能な方法としては、防犯ブザーや携帯電話の活用が考えられます。これらは、子どもが一人で行動する際の安全を確保するための現実的で実用的な手段です。
日本における共働き世帯の増加 (1980年〜2024年)
まとめ
吉展ちゃん誘拐殺人事件は、1963年に発生した非常に痛ましい事件であり、多くの教訓を私たちに残しました。この事件を通じて、子どもの安全を守るための防犯対策の重要性が浮き彫りになりました。
まず、防犯対策として有効なのは、防犯ブザーや携帯電話の携帯です。これらは子どもが一人で行動する際に犯行を未然に防ぐための抑止力となり、万が一の時には助けを呼ぶ手段として役立ちます。特に携帯電話は、GPS機能により位置情報を把握できるため、迅速な対応が可能となります。
また、親や周囲の大人による見守りの強化も重要です。これは、治安の良い地域に住むことで実現しやすくなりますが、全ての家庭がそれを実現できるわけではありません。そのため、コミュニティ全体での見守り意識の向上や、行政への働きかけも必要です。
この事件から学ぶべきことは、「知らない人について行かない」といった基本的な防犯教育の徹底と、危険を未然に察知し、防ぐための環境整備が欠かせないということです。共働き世帯の増加に伴い、子どもが一人で過ごす時間が増えている現代において、こうした防犯対策の重要性は一層高まっています。
事件の教訓を生かし、子どもたちが安全に過ごせる社会を築いていくために、私たち一人ひとりが防犯意識を高め、具体的な対策を講じることが求められています。